本記事では近年日本でもよく聞くようになった「カーボンニュートラル(CN)」という言葉について分かりやすく解説します。
カーボンニュートラルとは
カーボンニュートラルとは、温室効果ガスの排出を社会全体としてゼロにすることを指します。

温室効果ガスで最も有名なのは二酸化炭素(CO2)だよ。
二酸化炭素の他にメタン、フロンガス、一酸化二窒素といった
普段聞き慣れないようなものも含むんだ。
ただし、どうしても温室効果ガスの排出削減が難しい産業もあり、完全に排出量をゼロにすることは困難です。
そういった排出せざるを得ない分については、その分の温室効果ガスを吸収・除去することで、社会全体で正味の排出ゼロを目指す、ということになります。



上記の排出削減が難しい産業は「Hard to abate」産業と言われて
いて、一般的には鉄鋼・化学・セメント・航空・海運を指すよ。
なぜカーボンニュートラルが必要なのか?
二酸化炭素等の温室効果ガスは、地球温暖化の要因であると考えられています。
20世紀以降の世界全体の工業化に伴い、大気中の二酸化炭素濃度は工業化以前に比べて約50%増加し、世界の平均気温は約1.1度上昇したとされています。





地球温暖化の進行を抑え、将来の地球環境を守るため、
社会全体で温室効果ガスの排出を可能な限り早くゼロにする
ことが必要なんだ。
いつカーボンニュートラルを達成?
日本は2050年カーボンニュートラルを目指しています。
2020年に前菅義偉首相が、明確に2050年という期限を宣言したことが始まりとなりました。
「我が国は、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、すなわち2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを、ここに宣言いたします」
2020年10月 菅義偉首相所信表明演説
この2050年という期限は、現在欧米等の先進国の多くや、一部の途上国が設定している期限となっています。
その他中国やロシア等の途上国は2060年カーボンニュートラル、インドは2070年カーボンニュートラルを目標として定めています。





元々は2015年に途上国を含む世界の主要排出国の間で結ばれた、「パリ協定」で、21世紀後半という大まかな期限が締結国の間で定められたことに起因するよ。
パリ協定では、気温の上昇を工業化以前と比べて2度以下とし、1.5度に抑える努力をするという目標が定められました。
この1.5度に抑える、という目標を達成するために、21世紀後半までにカーボンニュートラルを達成することが必要であり、各国で目標が定められているというわけです。
カーボンニュートラル達成のために重要なこと
まず、世界における二酸化炭素の排出比率を見てみましょう。


2021年時点で日本は世界全体で3.0%の二酸化炭素を排出していますが、アメリカはその4倍以上となる13.6%で、中国に至っては10倍以上となる31.8%です。
日本・アメリカ・EU(欧州連合)で見ても全体の4分の1程度であり、中国だけでこれら全ての排出量を上回っています。
ここから見て分かるように、21世紀後半にカーボンニュートラルを達成するにあたって重要なのは、中国を始めとした途上国と一体となって世界が協力できるか、ということになります。



先進国だけがカーボンニュートラルを達成しても、途上国がバンバン排出していたら地球全体で見て地球温暖化は止まらないということだね。
ただ、先進国はこれまで大量に二酸化炭素を排出することで経済発展を遂げてきており、途上国に対して頭ごなしに協力を求めることは難しいです。
こういった先進国と途上国の間の埋められない溝は、カーボンニュートラル達成に向けた重要な論点であり、先進国が途上国に対して脱炭素化に向けた経済支援を行うこと等によって乗り越えていく必要があります。
まとめ
- カーボンニュートラルは、温室効果ガスの排出を社会全体としてゼロにすることを指す。
- 地球温暖化の進行を抑えるためにカーボンニュートラル達成が必要。
- 日本や多くの先進国、一部の途上国は2050年カーボンニュートラルを目指している。
- カーボンニュートラル達成に向けて重要なのは、先進国と途上国が一体となった協力。



カーボンニュートラルに向けて必要な脱炭素技術等については
別途解説するよ。