本記事では法人向けの高圧・特高電気料金の仕組みについて解説します。 高圧・特高の料金メニューは家庭向けの低圧料金メニューとは別枠扱いであり、料金体系も若干複雑なものが存在しているのが特徴です。
昨今の電力価格高騰で採算がとれなくなり、多くの電力会社が新規受付を停止したり事業撤退をしたことで話題になったね。
目次
高圧・特高料金の種類について
高圧・特高の料金メニューは以下の3つに大別できます。
- 旧一般電気事業者が提供する高圧・特高メニュー
- 新電力が提供する高圧・特高メニュー
- 一般送配電事業者が提供する「最終保障供給」
これから上記3つについて順番に解説していくよ。
旧一般電気事業者が提供する高圧・特高メニュー
旧一般電気事業者とは、電力自由化以前から日本の各地域で電力を供給してきた大手電力会社のことを指します。 旧一般電気事業者が提供する料金メニューは一部非公表のものもありますが、基本的にはHP上で公開されています。 昨今の電力価格高騰でこれらの大手電力会社も高圧・特高メニューの採算がとれなくなっており、未だ多くの電力会社が通常メニューでの受付を停止しています。 値上げを公表しているパターン等もあり、以下に纏めていますので参考にしてください。
電力会社名 | 値上げ | 新規受付 |
北海道電力 | 2023/4より値上げ | 2023/4供給開始で標準メニューでの受付を再開済み |
東北電力 | 2022/11より値上げ | 市場連動型のみ受付中 2023/4供給開始で標準メニューでの受付を再開予定 |
東京電力 | 2023/4より値上げ | 市場連動型のみ受付中 |
北陸電力 | 2023/4より値上げ | 停止中 2023/4供給開始で標準メニューでの受付を再開予定 |
中部電力 | 2023/4より値上げ | 停止中 2023/4供給開始で標準メニューでの受付を再開予定 |
関西電力 | 予定なし | 2023/4供給開始で標準メニューでの受付を再開済み |
中国電力 | 2023/4より値上げ | 2023/4供給開始で標準メニューでの受付を再開済み |
四国電力 | 予定なし | 市場連動型のみ受付中 ※2023/4目途で標準メニューでの受付再開を検討中 |
九州電力 | 予定なし | 市場連動型のみ受付中 ※2023/4目途で標準メニューでの受付再開を検討中 |
沖縄電力 | 2023/4より値上げ | 受付中 |
※公開情報を元に掲載しているため実態と異なる場合も考えられます。
※沖縄電力は唯一送配電の役割も担っているため本土とは事情が若干異なります。
現状多くの大手電力会社が新規受付を停止中又は市場連動型のみ受付しており、 昨年まで新電力と契約していた需要家にとってはかなり厳しい状況であると言えます。
新電力が提供する高圧・特高メニュー
新電力が提供する高圧・特高メニューは以下の2つに大別できます。
- 固定価格型
- 市場連動型
一般的に、固定価格型は旧一般電気事業者よりも単純に基本料金や従量料金が安くなっています。 対して市場連動型は卸電力市場価格が安ければ固定価格型よりもメリットが出るように設計されています。 両方に共通して言えることですが、新電力はHPに高圧・特高の単価を公表していないケースが結構多いです。 これは現状の価格を聞き取りしてそれより安い価格を提案するためです。 ただし昨今の卸電力価格高騰により、ほぼ全ての新電力が値上げ・事業撤退を余儀なくされています。 新規受付している新電力は数少なく、その多くが現状「市場連動型」です。
一般送配電事業者が提供する「最終保障供給」
「最終保障供給」はいわゆるセーフティーネットであり、受付を断られることがありません。 地域の一般送配電事業者が提供しています。 セーフティーネットという特性上、旧一般電気事業者や新電力に契約を断られた高圧・特高需要家はこちらを契約するしかありません。 昨今の卸電力価格高騰により「新電力よりも最終保障供給の方が安い」という事象も一部で発生しており、国の審議会でも非常に問題視されています。 料金は基本的に「旧一般電気事業者の標準メニュー料金×1.2倍」ですが、 東京電力PGや中部電力PGのように「市場価格調整項」で若干の上乗せを行っているパターンもあります。
まとめ
- 高圧・特高メニューは「旧一般電気事業者メニュー」「新電力メニュー」「最終保障供給」の3つに大別できる。
- 多くの旧一般電気事業者が現在標準メニューでの新規受付を停止、値上げを公表している。
- 新電力も非常に厳しい状況である。
- 最終保障供給の件数が増加し、非常に問題視されている。
高圧・特高の需要家は非常に厳しい状況に置かれているね。
旧一般電気事業者を含めて多くの電力会社が新規受付停止や値上げを発表している現状、高圧・特高の需要家は非常に厳しい状況にあると言えます。 高圧・特高は電気の使用量が多い関係上、値上げの影響を非常に大きく受けます。 無理のない省エネに努め、今回の危機を乗り越えましょう。