本記事では火力発電の仕組みから、燃料の種類、課題についてわかりやすく解説します。

現在の日本の電源構成の約7割を担っている大切な電源種だよ。
火力発電の基本|どんな仕組みで電気をつくるのか
火力発電は、燃料を燃やして発生する熱エネルギーを電気に変える仕組みの発電方式です。
ここでは、火力発電の基本構造と発電の流れをわかりやすく紹介します。
火力発電の中心となる設備は「ボイラー」「タービン」「発電機」の3つです。
この3つの装置が連携して、燃料のエネルギーを電気エネルギーに変換します。
- ボイラー(Boiler)
石炭・LNG(液化天然ガス)・石油などの燃料を燃焼させて、高温・高圧の蒸気を作ります。 - タービン(Turbine)
ボイラーで発生した蒸気を勢いよくぶつけ、羽根車(タービン)を回転させます。
この回転運動が、後段の発電機へ伝わります。 - 発電機(Generator)
タービンの回転を利用して、コイルと磁石を動かし、電気を発生させます。





熱 → 運動 → 電気という形でエネルギーが変換されていくんだね。
火力発電の種類とそれぞれの特徴
火力発電にも種類があり、日本では主に「石炭火力」「LNG火力」「石油火力」の3種類が稼働しています。
ここではそれぞれの特徴と役割をわかりやすく解説します。
石炭火力発電|コストが安く、供給が安定


石炭火力発電は、粉末状にした石炭を燃やして蒸気を作り、タービンを回す方式です。
石炭は燃料費が安く、また長期保存が可能なことから、供給が安定しています。
具体的には、石炭は万が一供給が完全にゼロになったとしても、備蓄により1~2か月分は継続して発電が可能であると言われています。



産地も中東が中心ではなく、政情が安定している国が多いから安心だね。
一方、CO2排出量が多いため、環境対策を実施していくことが今後求められます。
LNG(天然ガス)火力発電|石炭よりも環境に優しい、日本の主力電源


LNG火力発電は、ガスを燃やしてガスタービンを回す方式です。
現在の日本の電源構成において3割超を占めており、最も多くの電力を生み出している主力電源です。
LNGは石炭よりも燃料費が高いですが、燃焼時に発生するCO2が少なく、また出力の調整機能が石炭よりも優れています。



得られる熱エネルギーに対し、CO2排出量が石炭の半分程度と言われているよ。
一方、LNGはマイナス162度で液化することで保存されており、タンクの容量に限りがあるため、日本全体で最大でも1~2週間程度分の量しか貯蔵することができないと言われており、継続的に輸入・消費することが前提となっています。
何らかの理由で輸入が途絶した場合などは、安定供給が脅かされる事態に繋がります。



石炭に比べて燃料価格が変動しやすいことにも注意だよ。
石油火力発電|柔軟な運転が可能なピーク対応電源


石油火力発電は、主に重油や原油を燃焼させて蒸気を作る発電方式です。
日本では1970年代のオイルショック以降、稼働率は大幅に低下していますが、今も非常用・ピーク対応電源として重要な役割を担っています。
一方、CO2排出量が多く、また発電コストが高いことから、電力会社にとって”割に合わない”電源になっており、廃止される石油発電所も増えています。



あくまでバックアップ的な役割の電源だね。
再エネの主力電源化に不可欠な火力電源
近年、日本でも「再生可能エネルギーの主力電源化」が政策として掲げられています。
FIT・FIPなどの政策的な支援を背景に太陽光や風力の導入量は着実に増加していますが、太陽光や風力は天候等で発電量が左右されるため、再エネだけで安定的に電力をまかなうことは難しいのが現状です。



世界がカーボンニュートラルを目指す中で、火力発電は不要になるのでは?
このように考える人も少なくないかもしれません。
しかし現実には、再生可能エネルギーを主力とする脱炭素社会でも火力発電は重要な役割を担い続けると見られています。
具体的には、火力発電は柔軟な出力調整が可能なこと、燃料がある限り安定的な発電が可能であることにより、再エネのバックアップとして、「再エネの主力電源化」において不可欠な役割を果たしています。



柔軟な出力調整を行う能力を「調整力」と言うよ。
火力発電の今後
火力発電が今後カーボンニュートラルを目指していく上でも不可欠な電源であり、今後はどのような環境対策を行っていくか検討していくことが必要になります。
具体的には、燃やすときにCO2を排出しない水素・アンモニアを使用することや、CO2を回収して地中に貯留したり、再利用すること(CCUS)などが検討されています。
まとめ
- 火力発電は、燃料を燃やして発生する熱エネルギーを電気に変える仕組みの発電方式
- 石炭火力は燃料費が安く長期保存可能。CO₂排出量が多い点が課題
- LNG火力は石炭よりクリーンで柔軟な出力調整が可能。保存可能量が限定的なことと燃料コストが課題
- 石油火力はあくまでバックアップ的な電源
- 火力発電は今後カーボンニュートラルを目指す中でも不可欠な電源だが、環境対策の検討が必要



火力発電の環境対策については別途記事を書く予定だよ。