本記事では東北電力の値上げの動向について詳しく解説します。
家庭向け低圧メニューと法人向け高圧・特高メニューとで分けて説明するよ。
家庭向け電気料金の仕組みについて分かりやすく解説
家庭向けの低圧電気料金について、仕組みからお勧めのメニューまで詳しく解説します。
法人向け高圧・特高電気料金の仕組みについて分かりやすく解説
法人向けの高圧・特高電気料金について、地域ごとの状況や各電力会社の動向に触れながら分かりやすく解説します。
目次
家庭向け低圧メニュー
東北電力の家庭向け低圧メニューは以下の2つに大別できます。
- 従量電灯B、C(特定小売料金メニュー)
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電力自由化以前から東北電力が提供しているメニュー。2016年以降に引っ越しもプラン変更もしていない家庭はこれらのメニューであると思われる(オール電化は除く)。
- その他(自由料金メニュー、オール電化メニュー)
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「よりそう~」と名付けられている、電力自由化以降に東北電力が作ったメニュー。上記従量電灯に比べて単純に安かったり、安い時間帯がある等の特典がある。オール電化は全部こっち。
特定小売料金メニュー
東北電力は2023年4月分からの特定小売料金メニューの値上げを決定しました。
従量電灯B、Cの値上げ幅は以下の通りです。 ※東北電力のプレス資料には現行料金に燃料費等調整額を含んでおり、非常に見辛かったため、その影響を取り除いた数値を以下に記載しております。
~2023/3 | 2023/4~ | |
基本料金 | 330円/kVA | 385円/kVA |
従量料金(~120kWh) | 18.58円/kWh | 28.32円/kWh |
従量料金(121kWh~300kWh) | 25.33円/kWh | 35.21円/kWh |
従量料金(301kWh~) | 29.28円/kWh | 39.42円/kWh |
基本料金が55円/KVA、従量料金が10円/kWhほどの値上げとなっており、300kWh程度使用する家庭であれば大体3,000円~4,000円程度料金が上がる形になると思われます。 値上げの理由として一番大きいのは、特定小売料金メニューにおける燃料費等調整額の上限の存在です。
燃料費等調整制度について分かりやすく解説
電気料金の一部である「燃料費調整制度」について、歴史から計算方法まで詳しく解説します。
東北電力の場合、特定小売料金メニューに設けられている燃料費等調整額の上限は3.47円/kWhであり、自由料金メニューの2023年1月における13.41円/kWhと比べて10円近くの差が生じてしまっています。 この分は現状東北電力の赤字となっており、それを今回の値上げで吸収した形となります。 なお、東北電力における自由料金メニューの燃料費等調整額の推移は以下の通りです。
自由料金メニュー
東北電力は低圧自由料金メニューを2022年12月分から値上げしており、更に2023年4月からも値上げすることを発表しています。 電気料金には「燃料費等調整額」というものが存在しており、2022年11月分まで東北電力の低圧メニューには全て燃料費等調整額の上限が存在していました。 しかし2022年12月分から、自由料金メニューにおいてその上限を撤廃することが決定されました。
https://nenryohi-chosei.tohoku-epco.co.jp/
よって上記「特定小売料金メニュー」にのみ上限が存在する形となり、2023年1月の水準における差は10円/kWh程度となります。
300kWh程度使用する家庭であれば、実質的に3,000円ほどの値上げです。
更に2023年4月からは、自由料金メニューのベース部分が平均7.69%値上げすることが決定しています。
値上げ幅がメニュー毎に異なるため、詳しくは以下のページをご参照ください(自由料金メニューは4P~)
ただしベース部分が高くなるとは言え、特定小売料金メニューの値上げ幅よりはかなり小さい上、以下で述べる通り燃料費等調整額は値下げとなるため、現状と比べた実質的な値上げ幅は限定的になると思われます。
燃料費等調整額の改訂
上記料金メニューの見直しにあわせ、燃料費等調整額の見直しも実施されます。
内容としては、「基準燃料価格」が昨今の高い水準に見直されることにより、現在自由料金メニューで13円/kWhを超えている燃料費等調整額は2023年4月以降、大幅に安くなることが予想されます。
燃料費等調整制度について分かりやすく解説
電気料金の一部である「燃料費調整制度」について、歴史から計算方法まで詳しく解説します。
燃料費等調整額の割引(2023年2月~10月分)
国の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」により、低圧メニューにおいて2023年2月~10月分の間、燃料費等調整額の割引が実施されます。申込等は不要であり、自動で割引される仕組みです。
詳しくは以下の記事をご参照ください。
2023年1月使用分からの電気料金割引について分かりやすく解説
2023年1月使用分から日本全体で適用される、電気料金の割引制度について分かりやすく解説します。
2023年4月以降はどちらの料金メニューがおすすめ?
上記値上げを踏まえて、特定小売料金メニューか自由料金メニューどちらが良いかですが…
おそらく自由料金メニューがおすすめです。
ただし単純比較が出来ないような料金形態になってしまうことが予想されますので、気になる方は直接東北電力に問い合わせてみてください。
法人向け高圧・特高メニュー
東北電力は法人向けの高圧・特高メニューを2022年11月から値上げしています。
高圧および特別高圧の電気料金単価の見直しについて|東北電力
東北電力の高圧以上の標準メニューの料金見直しについて掲載しているページです。
値上げ幅は以下の通りです。
高圧 | 特高 | |
基本料金 | +352円/kW | +352円/kW |
従量料金 | +3.97円/kWh | +3.85円/kWh |
一般的なケースで約16~18%の値上げになるとのことですが、高圧・特高は契約容量・使用量ともに多いため影響額は非常に大きくなります。
燃料費等調整額について
上記で述べた通り、低圧料金メニューでは燃料費等調整額が値下げとなることが公表されています。 一方、高圧・特高料金メニューでは特に何のアナウンスもされていません。 これまでは燃料費等調整額の算定において、低圧・高圧・特高全て共通の基準を用いていましたが、このまま何のアナウンスも無ければ、2023年4月以降は別々の基準を用いる形になるのかもしれません。 以下は燃料費等調整額の推移です。
燃料費等調整額の割引(2023年2月~10月分)
国の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」により、高圧メニューにおいて2023年2月~10月分の間、燃料費等調整額の割引が実施されます。申込等は不要であり、自動で割引される仕組みですが、特高は対象外となっています。 詳しくは以下の記事をご参照ください。
2023年1月使用分からの電気料金割引について分かりやすく解説
2023年1月使用分から日本全体で適用される、電気料金の割引制度について分かりやすく解説します。
今後について
東北電力は原発がまだ動いておらず、地震・津波の被害を受けた火力の復旧も並行して行っていることから、現状日本で最も経営上難しい旧一般電気事業者の一つであると言えます。 今年度は燃料費高騰の影響をモロに受けており、今年度の業績予想は当期純利益が1,800億の赤字の見込みとのことです。 低圧・高圧ともに既に値上げを発表していますが、燃料費高騰の状況が今後も続くのであれば将来的に更なる値上げを行わざるを得ない可能性もあります。
まとめ
- 東北電力は低圧自由料金メニューを2022年12月分から、特定小売料金メニューを2023年4月分から値上げすることを決定している。
- 高圧・特高メニューに関しては2022年11月から値上げされている。
状況が変わったら記事を更新するよ。