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【2023年】東京電力の値上げについて分かりやすく解説

本記事では東京電力の値上げの動向について詳しく解説します。
東京電力は2023年4月から高圧・特高メニュー、2023年6月から低圧メニューについて値上げを発表しています。

家庭向け低圧メニューと法人向け高圧・特高メニューとで分けて説明するよ。

目次

家庭向け低圧メニュー

東京電力の家庭向け低圧メニューは以下の3つに大別できます。
従量電灯B、C(特定小売料金メニュー)
電力自由化以前から東京電力が提供しているメニュー。2016年以降に引っ越しもプラン変更もしていない家庭はこれらのメニューであると思われる(オール電化は除く)。
その他(自由料金メニュー、オール電化メニュー)

「スタンダード~」「プレミアム~」「夜トク~」等のメニュー。上記従量電灯に比べて単純に安かったり、安い時間帯がある等の特典がある。オール電化は全部こっち。

アクアエナジー100

水力100%のプラン。燃料費等調整額が存在しない。2023年1月11日で新規受付終了。

最初に述べた通り、東京電力は低圧全てのメニュー(アクアエナジー除く)について2023年6月からの値上げを発表しています。

特定小売料金メニュー

2023年6月からの特定小売料金メニュー(従量電灯B、C)の値上げ幅は以下の通りです。
~2023/52023/6~
~120kWh19.88円/kWh34.84円/kWh
121kWh~300kWh26.48円/kWh41.44円/kWh
301kWh~30.57円/kWh45.53円/kWh
2023年6月からの従量電灯B、C値上げ幅。
東京電力のプレス資料には現行料金にのみ2023年1月分の燃料費等調整額(5.13円/kWh)が含まれており、非常に見辛いため、その影響を除いた数値を上記の表に記載しています。
基本料金は据え置きであり、従量料金が14.96円/kWh値上げとなるようです。

一方、「燃料費等調整額」が改訂され、現状よりも大幅に安くなるため、現行料金からの相対的な値上げ額は9.83円/kWhとなります。
月に300kWh使用する家庭であれば3,000円弱ほどの値上げであり、平均29.31%の負担増を想定しているようです。

今回値上げの大きな要因となったのは、この特定小売料金メニューにおける燃料費等調整額の上限の存在です。
特定小売料金メニューには燃料費等調整額の上限が存在しており、5.13円/kWhで頭打ちとなります。
一方、下記で述べる自由料金メニューは燃料費等調整額の上限が無く、現状8円弱/kWhの差があります。
東京電力の公開情報から著者作成
その分は現状、東京電力の赤字部分となっており、今回の値上げでこの赤字部分を吸収した形となります。

自由料金メニュー

東京電力は自由料金メニューについても2023年6月からの値上げを発表しています。
基本料金は据え置きですが、従量料金の値上げ幅がメニュー毎に異なるため、詳しくは以下のページをご参照ください(4P~13P)。
上記の料金表には現行料金にのみ2023年1月の燃料費等調整額12.99円/kWhが含まれており、実際の値上げ幅は大体15円弱/kWh程度となります。
ただし燃料費等調整額が改訂され、大幅に安くなるため、現行料金からの相対的な値上げ幅は2円弱/kWh程度となります。
月に300kWh使用する家庭であれば500円強の値上げであり、平均5.28%の負担増を想定しているようです。

特定小売料金メニューが約3割の値上げであったことを考えると自由料金メニューの値上げ幅は小さいですが、燃料費等調整額の影響で現在は自由料金メニューが非常に割高となっているため、妥当な範囲でしょう。

アクアエナジー100

燃料費等調整額高騰の避難先として注目されていたアクアエナジー100ですが、今回の値上げ対象には含まれていません。
ただし燃料費等調整額の改訂により、価格的なメリットはほぼ消失します。
2023年6月以降は再エネ(水力)で契約したい、という方のみ引き続き契約するのが良いでしょう。

燃料費等調整額の改訂

既に述べている通り、上記料金メニューの見直しにあわせ、燃料費等調整額の見直しも実施されます。
内容としては、「基準燃料価格」が昨今の高い水準に見直されることにより、現行よりも大幅に安くなります。

燃料費等調整額の割引(2023年2月~10月分)

国の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」により、低圧メニューにおいて2023年2月~10月分の間、燃料費等調整額の割引が実施されます。申込等は不要であり、自動で割引される仕組みです。
詳しくは以下の記事をご参照ください。

2023年6月以降はどちらの料金メニューがおすすめ?

上記値上げを踏まえて、特定小売料金メニューか自由料金メニューどちらが良いかですが…
おそらく自由料金メニューです。

ただし単純比較が出来ないような料金形態になってしまうことが予想されますので、気になる方は直接東京電力に問い合わせてみてください。

法人向け高圧・特高メニュー

東京電力は2023年4月からの高圧・特高メニューの値上げを発表しています。
まず、基本料金は据え置きですが従量料金単価が値上げされます。値上げ幅は以下の通りです。
従量料金の値上げ幅
高圧+6.27円/kWh
特高+6.19円/kWh
現状からの値上げ幅
モデルケースだと12~14%程度の値上げとのことですが、今後の市況次第で変わってくる数字です。

燃料費等調整額の改訂

上記値上げに併せて燃料費等調整額が改訂され、「市場価格連動項」が追加されることになりました。
これは電力卸売市場の価格に連動する料金であり、電力市場価格が高止まりしている現状は実質的な値上げとなります。
ただし「基準燃料価格」が高い水準に見直されたため、大元の燃料費調整部分は大幅に安くなり、最終的に全体の燃料費等調整額は現状と比べて若干安くなると思われます(今後の市況次第ではあります)。

なお、燃料費等調整額の推移は以下の通りです。
東京電力の公開情報から著者作成
更に影響額は小さいですが、2023年度からのレベニューキャップ制度導入に合わせた値上げも行われる見込みです。

燃料費等調整額の割引(2023年2月~10月分)

国の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」により、高圧メニューにおいて2023年2月~10月分の間、燃料費等調整額の割引が実施されます。申込等は不要であり、自動で割引される仕組みですが、特高は対象外となっています。
詳しくは以下の記事をご参照ください。

今後について

東京電力EPは、2022年度で5,050億円の赤字を見込んでいる旨が公表されました。
先日東京電力HDから2,000億円の増資を受けたばかりですが、追加で3,000億円の増資を受け、赤字分を補填するとのこと。
東京電力は実質国有化されているとはいえ、非常に危険な経営状況であると言えます。
今回の値上げである程度は経営状況も改善するものと思われますが、今後値下げとなるのは暫く時間を要するかもしれません。

なお、今回の値上げは柏崎刈羽原発7号機の2023年10月再稼働、6号機の2025年4月再稼働を見込んだ値上げ幅となっており、再稼働が長期的に上手くいかなかった場合は更なる値上げとなる可能性も考えられます。
ちなみに記者会見時点では未だに工事も完了しておらず、具体的な目途は立っていないとのことでした。

まとめ

  • 東京電力は低圧メニューを2023年6月から値上げすることを発表している
  • 高圧・特高メニューも2023年4月からの値上げを発表している。

状況が変わったら記事を更新するよ。

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