本記事では中国電力の値上げの動向について詳しく解説します。
中国電力は2023年4月より、ほぼ全ての電気料金について値上げを発表しています。
家庭向け低圧メニューと法人向け高圧・特高メニューとで分けて説明するよ。
家庭向け電気料金の仕組みについて分かりやすく解説
家庭向けの低圧電気料金について、仕組みからお勧めのメニューまで詳しく解説します。
法人向け高圧・特高電気料金の仕組みについて分かりやすく解説
法人向けの高圧・特高電気料金について、地域ごとの状況や各電力会社の動向に触れながら分かりやすく解説します。
目次
家庭向け低圧メニュー
中国電力の家庭向け低圧メニューは以下の2つに大別できます。
- 従量電灯A、B(特定小売料金メニュー)
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電力自由化以前から中国電力が提供しているメニュー。2016年以降に引っ越しもプラン変更もしていない家庭はこれらのメニューであると思われる(オール電化は除く)。
- その他(自由料金メニュー、オール電化メニュー)
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オール電化を含むその他のメニュー。上記従量電灯に比べて単純に安かったり、安い時間帯がある等の特典がある。
特定小売料金メニュー
特定小売料金メニューについては2023年4月からの値上げとなります。
低圧部門の規制料金等の見直しについて|プレスリリース|中国電力
当社は、2023年4月1日から低圧部門の規制料金を見直すこととし、本日、経済産業大臣に対し、電気特定小売供給約款の変更認可申請を行いました。 あわせて、低圧部門の…
特定小売料金メニューの値上げ幅は以下の通りです。
~2023/3 | 2023/4~ | |
基本料金 | 407円/kVA | 429円/kVA |
従量料金(~120kWh) | 21.26円/kWh | 28.42円/kWh |
従量料金(121kWh~300kWh) | 27.35円/kWh | 37.54円/kWh |
従量料金(301kWh~) | 29.22円/kWh | 40.37円/kWh |
基本料金が若干、従量料金が7円~11円の値上げとなっており、300kWh程度使用する家庭であれば大体2,000円~3,000円程度料金が上がる形になると思われます。 値上げの理由として一番大きいのは、特定小売料金メニューにおける燃料費等調整額の上限の存在です。
燃料費等調整制度について分かりやすく解説
電気料金の一部である「燃料費調整制度」について、歴史から計算方法まで詳しく解説します。
中国電力の場合、特定小売料金メニューに設けられている燃料費等調整額の上限は3.19円/kWhであり、自由料金メニューの2023年2月における15.63円/kWhと比べて12円近くの差が生じてしまっています。 この分は現状中国電力の赤字となっており、それを今回の値上げで吸収した形となります。 なお、中国電力における自由料金メニューの燃料費等調整額の推移は以下の通りです。
自由料金メニュー
次に自由料金メニューについて解説します。 料金の改定についてはメニュー毎に異なるため、詳しくは以下のページをご参照ください。
これ従量料金について現状の料金の中に「2022年12月の燃料費等調整額 14.36円」を含んでいるので、現状の料金が非常に高い水準で見えてしまって、実際の値上げ幅が見にくいんですね。 そうすると、ベースの従量料金はだいたい10円~14円程度値上げになっていることが分かります。 ただし、以下で改めて述べますが、併せて燃料費等調整額の改訂が行われており、燃料費等調整額の基準燃料価格が昨今の水準へと大幅に引き上げられました。 そのため燃料費等調整額は2023年4月から大幅に安くなることが予想されます。 よって、ベース料金が10~14円値上げになったとしても、現状とそこまで変わらないか逆に安くなると思われます。
燃料費等調整額の改訂
上記料金メニューの見直しにあわせ、燃料費等調整額の見直しも実施されます。 内容としては、「基準燃料価格」が昨今の高い水準に見直されることにより、現在15円/kWhを超えている燃料費等調整額は2023年4月以降、大幅に安くなることが予想されます。
燃料費等調整制度について分かりやすく解説
電気料金の一部である「燃料費調整制度」について、歴史から計算方法まで詳しく解説します。
燃料費等調整額の割引(2023年2月~10月分)
国の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」により、低圧メニューにおいて2023年2月~10月分の間、燃料費等調整額の割引が実施されます。申込等は不要であり、自動で割引される仕組みです。
詳しくは以下の記事をご参照ください。
2023年1月使用分からの電気料金割引について分かりやすく解説
2023年1月使用分から日本全体で適用される、電気料金の割引制度について分かりやすく解説します。
2023年4月以降はどちらの料金メニューがおすすめ?
上記値上げを踏まえて、特定小売料金メニューか自由料金メニューどちらが良いかですが…
おそらく自由料金メニューです。
ただし単純比較が出来ないような料金形態になってしまうことが予想されますので、気になる方は直接中国電力に問い合わせてみてください。
法人向け高圧・特高メニュー
冒頭で述べた通り、中国電力は2023年4月から高圧・特高メニューも値上げすることを発表しています。 だいたい基本料金が132円or264円、従量料金が4円強の値上げになるようです。 値上げ幅はメニュー毎に異なるため、詳しくは中国電力のホームページをご覧ください。
燃料費等調整額の改訂
更に燃料費等調整額が改訂され、「基準燃料価格」が昨今の高い水準に見直されることに加え、「市場価格連動項」が追加されることになりました。 「基準燃料価格」が高くなると燃料費等調整額自体は安くなるため、実質的な値下げとなります。 「市場価格連動項」は電力卸売市場の価格に連動する料金であり、電力市場価格が高止まりしている現状は高くなることが予想されます。よって実質的な値上げです。 値下げと値上げが同時に行われることになるため、最終的に全体が高くなるのか安くなるのかは今後の状況次第となります。 なお、中国電力における燃料費等調整額の推移は以下の通りです。
更に影響額は小さいですが、レベニューキャップ制度導入に伴い託送料金部分の値上げも予定されています。
燃料費等調整額の割引(2023年2月~10月分)
国の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」により、高圧メニューにおいて2023年2月~10月分の間、燃料費等調整額の割引が実施されます。申込等は不要であり、自動で割引される仕組みですが、特高は対象外となっています。 詳しくは以下の記事をご参照ください。
2023年1月使用分からの電気料金割引について分かりやすく解説
2023年1月使用分から日本全体で適用される、電気料金の割引制度について分かりやすく解説します。
今後について
中国電力は2022年度で2097億円の赤字を見込んでおり、過去最大となります。 なお、これは関西電力とのカルテルへの課徴金も含んだ予想値です。
中国電力、今期の最終赤字2097億円 課徴金で特損計上 – 日本経済新聞
中国電力は2日、2023年3月期の連結最終損益が2097億円の赤字(前期は397億円の赤字)になりそうだと発表した。1日に公正取引委員会から独占禁止法違反で707億円の課徴金納…
今回の値上げ幅がかなり大きいため、暫くはこの水準となることが見込まれます。
まとめ
- 中国電力は低圧料金メニューで2023年4月からの値上げを発表している。
- 高圧・特高メニューについても2023年4月から値上げ予定。
状況が変わったら記事を更新するよ。